イジワル騎士団長の傲慢な求愛
「実力だけじゃなくて、ルーファス様のご寵愛を受けているともっぱらの噂よ」

「……ご寵愛?」

「愛人ってことよ」

「なっ……」

思わず、手にしていたクッキーを取り落としてしまった。テーブルからこぼれ落ちたクッキーは、青々とした芝生の上をコロコロと転がっていく。
しかし、拾うのも忘れて、ルーファスとその隣にいる秘書官に目を奪われてしまった。

「……そんな噂、聞いたことないわ」

「そりゃあ正妻に愛人の話なんて誰もしないわよ」

「そんな……」

絶句するセシルにシャンテルはたたみかける。

「十日も部屋に来てくださらないって? それって本当に仕事なの?」

鮮烈な問いかけは、セシルの胸に突き刺さり、ティータイムが終わっても消えなかった。
心をモヤモヤとさせたまま、夜がやってくる。
今日もルーファスは、セシルの部屋を訪れてはくれないのだろうか。
< 136 / 146 >

この作品をシェア

pagetop