初恋マニュアル



「おっ前、ほんとに失礼だな!」



クスクス笑う三浦くんのそばで、五十嵐くんがわめくのを見て、私と由宇ちゃんは思わず笑ってしまった。



「どうする?」



二人がわあわあ言い合ってる間に、由宇ちゃんに小声でそう聞いてみる。



「夏帆たちいないし、一緒に回ってみよっか?」



由宇ちゃんも覚悟を決めたように笑って、私に確認するようにそう言った。


私は了解とばかりにうなずいて、また三浦くんたちに向き直る。


それに気づいた三浦くんが、五十嵐くんを手で制しながら、どうするか決めた?と私たちにやさしく笑いかけてくれた。



「いいよ、一緒に回ろう?」



由宇ちゃんがそう答えると、五十嵐くんがまじ!とうれしそうな顔でこっちに近づいてくる。


それから私たちの前まで来ると、行こ行こって言いながら、由宇ちゃんのうでをグイッと引っ張った。


由宇ちゃんの私とつないでいた手がスルリと抜けて、あっという間に五十嵐くんに連れていかれてしまう。
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