浅葱色の鬼
懐妊中は、ぼーっとしたり
眠くなったりするらしく
記憶力もなくなるんだとか

出産を経験した女中さん達に、色々と教えて貰った


産衣を作ろうと思い


屯所を出て、買い物を終え
帰る途中のこと


「こんにちは 1人なの?」


「あ… えと…」


「クスッ 藤堂です
ごめん この前、名乗ってなかったね」


「藤堂さんですね!」


「うん 1人で外出は、危ないよ?
屯所まで送ってあげるよ」



しまった…

懐の紙の存在を思い出し、藤堂さんに
甘えることにした



「よろしくお願いします」


「何か欲しいものがあるなら
巡察に出る幹部に頼みなよ」


「産衣を作りたくて、思い立ったら
屯所を出てしまってました」


「懐妊してるの?」


「はい!」


「そう!良かったね!」




屯所の近くになると



「あれ?紅音さん?
なんで平助君といるの?」


あ…病弱な…えと…


「偶然だよ
町で1人のところをみかけてね
今日は、総司と出掛けてたことにしてあげて!産衣の材料を買いたかったんだって」


「そういうことですか
土方さんが心配するから、そうしよう
平助君 新選組との接触は、禁止なのに
わざわざ送ってくれてありがとう」


「え!?そうなんですか!?
すみません!!!」


藤堂さんは、にこりと笑い


「土方さんの大切な方だからね!
そうだ!総司!延びたね!」


「ええ!」




何のことだろう? 仕事のことかな?





気になりつつも、屯所に入ると

旦那様は、よほど心配していたのか


裸足で庭を駆けていた




「すみません 無断で紅音さんを外へ連れ出しました! えへへっ」


私の為に嘘をつく、総司さんだっけ?
に続き


「すみません! 私が買い物に行きたいと
我が儘を言いました!」



「総司~ まったく、お前って奴は…」



旦那様は、怒らなかった

これは、総司さんのおかげね!


旦那様は、総司さんに弱いもの!



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