浅葱色の鬼
恋いにおちる
近藤と沖田が大阪へ移る前日



普段通り、紅音が看病をしていた





「歳のこと、頼んだよ」


「それは、私の役目ではない
心配なら、早く帰ってくるといい」


「土方さんてさぁー、信じられないくらい
寂しがり屋なんだよね~
でも、紅音さんがいたら安心です!」


「お前たちには、代われない
私は……ただ私の我が儘でここにいる
何も出来ない、役に立たぬ命だ…」


「紅音…よいしょっ…」


「起きるな 寝ていろ」



上半身を起こし、紅音と向き合う
近藤は、紅音の頭に手を置いた



「役に立っているよ
とてもね!
力などなくても、紅音の存在が
新選組の活力だよ
紅音がいるから、総司と療養出来るんだ」



優しく撫でる
近藤の手に、紅音が安堵の表情を浮かべた



「フフッ やはり、感覚があるんだね?」



しまった と、目を見開くと


「紅音さん!わかりやすーい!」


クスクスと沖田が笑う



「辛いことをさせてしまったね」



治療の為の口づけを言っているのだと
察して、首を横に振った 



「感覚がない時でも、治療が嫌な相手がいた
治療しても、感謝されることもなかった
でも、ここの皆は何をしても感謝して
喜んでくれる
私は、辛くない
近藤も沖田も、ここにいてほしい」


「ありがとう 嬉しいよ」

「紅音さん! ありがとうございます!」








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