浅葱色の鬼
「ただの雇われだったとしても
長州との繋がりが、ない…と確実になるまでは、新選組にいてもらうことになる
それが嫌なら、名前と何者かを話してくれ」



「……」





紅音は、俯いたまま
無言を貫いた





「にゃーーーん!!」




部屋に来た蒼が、紅音に近づいて
膝に乗ろうとする



ポイッ



それを紅音が阻止



「猫、苦手か?
蒼!俺のとこに来い!」



永倉が蒼を抱き撫でる



「俺の名は、近藤勇だ!
約束しよう!君が話してくれたら
君を解放する!」



チラリと紅音が、近藤を見ると
近藤がニコニコと、微笑む




「……梅結乃(ツユノ)
私は、長州と関係ないです!
ぜんざい運んでただけです!」



「良く話してくれたね
家は、大阪かな?」



「はい」


「明日、送ろう」


「1人で帰れます
疑いが晴れたなら、もういいですよね!
おにぎり、ご馳走さまでした!」



紅音は、母の名前を名乗った

記憶を消す前に書いた自分からの文にある



新選組と青い目の白猫に関わらないこと
命であることは、誰にも言わないこと
京を出て、母の名を名乗ること




注意事項を守った






「では、失礼します」



立ち上がり、ペコリとお辞儀をする




「おい… 逃げるみてえだな…
そんなに急ぐことはないだろうに」



土方が、紅音を呼び止める

紅音が振り返って




「新選組の評判は、存じてます
男所帯に、私が1人でいるなんて
嫌に決まっているでしょう!」



紅音が、部屋を出て行った



「よく喋るじゃねぇか…
山崎 後をつけろ」


「承知」


「土方君 まだ疑っているのかい?」


「心配なだけだよな?歳?」


「どっちもだよ!ったく…
愛想のねぇ女だ…」














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