浅葱色の鬼

紅音

眠くはないけど
とりあえず布団に入った


女将さんが見に来るかもしれないから



新選組…


いい人達だと思うわよ!
だからこそ、困ってるのよ!
関わらないようにしなきゃいけないのに!
折角、京を出たのに、会ってしまうなんて
縁の強さを甘くみたわ



早朝




食事を貰った御礼を兼ねて
掃除をして、洗濯をした



さぁ、出て行こう

「きゃあ!!!」


女将さんの悲鳴

様子を見に行こう


廊下の角からチラリ



「金を出せ!!早くしろ!!
この女がどうなってもいいのか!?」



女将さんに刃物が向けられていた



やれやれ…




仕方ないな




「女将さんを離してあげて
足を傷めているみたいだから
人質なら、私が代わりになります」



「なんだ!?お前… なかなかの上玉だな
よし!こっちにこい!」



「あきまへん!梅結乃はん!
あんたは、来たらダメや!」




置屋に押し入った不逞浪士が
女将さんをポンと突き放したのを見届け




グルリと回し蹴り


うん!完璧に決まった!



失神した男を見下ろし



「この人、どうします?」



女将さんを始め、置屋の人々が
あんぐりと口を開け
呆けていた、しばらく待つと




「すげぇ!!女用心棒だ!!」

「ホンマに、女用心棒やわぁ!」  等々




どうやら、誉めてくれているみたい




だけど




女将さんは、ポロポロと涙を流して



「なんてこと…
怪我がのぉて、良かった…」



どうして泣いているんだろう


不思議で仕方なかった




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