浅葱色の鬼
男を引き取りに来た、新選組の人が


「よう!梅結乃じゃねえか!
ここで働くのか!?
そうか!女将が怪我してるみたいだから
よろしく頼むな!!」


「え?」



山崎は、私の事をなんて報告したの?

確か、この人は永倉


「私は、大阪に帰るの!」


「は?女将が怪我してんのに?
治るまでいてやれよ!
どうせ、大阪の職は、ないんだし」


それは、そうだけど


「梅結乃!!お願いや!
うちを助けておくれ!お願いや!」



はぁー



「治るまで… 治るまで、ですから!!」


「おおきに!」



涙は、ズルイ

女将さんを助けたくなってしまうんだから



「梅結乃!またな!」



またって、なによ!




永倉の背中を見ながら
心の中で、あっかんべぇをした










永倉の〝また〟が
その翌日になるとは…




「新選組に行っといで」

「嫌です」

「2日に1度、新選組の手伝いしてるんや
繕い物!出来るやろ?」

「……」

「足が痛くて、歩かれまへん よろしゅう」


ズルイ


涙の次は、怪我


女将さんの武器は、私に有無を言わせない



繕い物をするだけだ


繕い物……





「あの!!邪魔なので、私の廻りを囲むの
辞めてくれませんか!?」


「若い娘が屯所にいるっていいよなぁ」


藤堂が、しみじみと言うと


「「「「いいよなぁ」」」」


声を揃えて言う



「いたっ!!」


うっかり針を指に刺してしまい
血が出る

ここで力は、使えない


「わぁー!大丈夫か!?」

「山崎!!」

「早く!山崎君、治療してあげて!!」

「梅結乃!しっかりしろ!!」



なんなの…この人達…


「死ぬわけじゃあるまいし…大袈裟」




飛んできた山崎によって
私の指には、薬が塗られ
ぐるぐると包帯が巻かれた



「バカみたい……」


「アホ!傷跡残ったらどないすんねん!」


「これじゃ、縫えない!帰る!」



逃げるように、新選組を飛び出した

胸が… 痛い…




可笑しな人達…

出会って間もない私に優しくして
大切に扱って…


このままじゃ、私の記憶が戻ってしまう


心を掻き乱さないで!!!





「具合悪いのか?」


道端で蹲る私に声を掛けてきたのは
1番関わってはいけない 土方だった


「その手… 怪我したのか!?」


「はっ… 針で刺しただけよ!!
大袈裟に包帯なんか巻くから
仕事出来ない!!置屋に帰る!」


「クククッ皆、お前のこと気に入ったんだな
懲りずに仲良くしてやってくれ
帰るなら、送ってやるよ」


「結構です!!!」



ずんずんと歩き

置屋に戻ると包帯に驚いた女将さんが
下働きの人らに布団を敷かせ


寝かされることになった



針で、刺しただけで
まるでお姫様みたい



先が思い遣られる















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