浅葱色の鬼

紅音

〝僕の気持ちが、皆に伝わるだろうか
君の感想を聞かせて欲しい〟



開いた本から、ヒラリと落ちた紙に書いてあった



なんだろう…



よくわからないけど



昼過ぎに、新選組へ



いつも返事を挟むけど
返事に困り、本だけを手にやってきた




「梅結乃さん…
今日は、ちょっと…」


門番が気まずそうに言った


「なんです?」


「山南総長が切腹したんです」


頭の中が、一瞬真っ白になった



そして、文の意味を理解した



「そうですか、では…尚更
幹部に合わせてもらいます!」



いつもの縁側に、誰もいなくて



山南さんから聞いていた土方さんの部屋の
襖を思い切り開けた



そこには、どんより暗い顔した幹部達



「山南さんなら、総司の介錯で切腹した」


「あのさ…私、山南さんに本を借りてたんだけど!!」


「…貰っとけ」


小さな声で返事した土方さんに
イラッとした


パシンッ


「あなた!山南さんから何を学んだの?
山南さんは、あなたにそんな
うじうじした顔されるために、切腹したんじゃない!!
沖田さん!!本貰うって言うから
お墓に連れてって!」


「梅結乃さん…」



沖田さんが、泣きそうな顔をした



「藤堂、梅結乃を…」

「私は、沖田さんに頼んだの!!!」


ギロリと土方さんを睨む


「総司の気持ちも考えろよ」


低く威嚇する声だった


それに負けず


「考えてる!あなたよりね…
いくべきよ 
どうせ、お墓に行ってないんでしょ!?
沖田さん…あなたは、ちゃんと
山南さんに別れをするべきよ!」


「お前なぁ!!」


「お前なんて!気安く呼ばないで!!!
山南さん…
ずっと、自分に出来ることは、何か
真剣に考えてた
昔みたいに、こうして皆で集まって
良いこと、悪いことも、色々話して
同じ気持ちになれればって…
それに、皆!
新選組になって、心が浮ついてて
屯所が移転したら、地に足つかなくて
益々、心が離れてしまって
バラバラになってしまうかもって
凄く、悩んでた!!
やり方は、間違ってるかもしれないけど
こうして皆が集まって、山南さんを思っていることは、同じ気持ちなら
山南さんは、賭けに勝ったんだと思う!
こんなやり方でも、皆を思う気持ちは
山南さんらしい!そうでしょう!?」


沖田さんを見ると

コクリと頷いてくれた


「行きましょう!お墓!」















< 50 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop