浅葱色の鬼
山南さんのお墓の前で
手を合わせる沖田さんに

「無理にお墓に誘ったのは、山南さんから…
沖田さんと2人きりで話をして欲しいと
頼まれてたの」


「え?」


「咳、ずっとしてるって
もしかしたら、体調不良なんじゃないか
心配してた
皆にバレないように、お医者に行きましょう?
早く、ちゃんとした治療を受ければ
治る病かもしれないでしょ」


「……山南さんには、敵いませんね」


「ええ、本当……
山南さん!山南さんの気持ち
皆に届いてますよ!」


「あのさ… これ、山南さんから君に
2人きりになったら、渡してって…」


沖田さんから受け取った文を開く



〝縁は、簡単に切れない
協力しようがないとわかった
だから、君に良いことを教えてあげよう
紅音 君は、ひとりじゃない
新選組は、紅音を思い出す
紅音は、新選組の大切な仲間だから〟




紅音って…


山南さん… 記憶が戻っていたの???




「本当… 敵わない
折角、仲良くなれたのに…」






お墓参りのその足で沖田さんは、お医者さんに診察して貰い、労咳と診断された



「お薬、きちんと飲んでね!」


「うん、わかったよ」





病は、治せない


その事を悔しいと思った

















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