浅葱色の鬼
山崎が言ように
医術に関心が強く


怪我をした隊士の治療をしてみたり
風邪ひきの看病をしたり


楽しそうに見えた



紅音の事を見守る日々



「大丈夫か?歳…」

近藤さんが俺の肩に手を置いた


「ああ なんとかな」






数か月たち







君菊が出産した

産婆の手伝いをして、そのまま
君菊を住まわせている家に
紅音が住み込んだ



なかなか回復しない君菊を心配し
懸命に看病してくれていた





「おい!なぜ会いに来ない!
君菊と子供が心配にならないのか!?」






紅音は、俺の態度が気に食わないと
ギロリと睨む



「私は、わかるんだ」



紅音が視線を落とした



「これは、言ってはいけない事だが…
2人とも…… 永くない
残りの時を幸せに過ごさせてやれ」





紅音の言う通り、子は亡くなった


そして



君菊の初恋の人が、面倒をみたいと
申し出て、2人は夫婦になり


数日で、亡くなった




だが… 祝言の日の君菊は


とても幸せそうで





もっと早く、俺が動いていれば
幸せな時間は、永かったはず





「土方 私は、役にたてただろうか」

「ああ」





紅音が、何か考えている


庭を眺める紅音の横顔を
しばらく見詰める




幹部達が集まり


賑やかになった頃



クスクスと笑い




「この先の世に命は、いらないな…」




そう言って、また笑った




全員が黙ると


「近藤 また、やりたいことが出来た」



近藤さんへ向けた笑顔は
今までで1番の笑顔だった









< 64 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop