浅葱色の鬼
しかし…

不便だ





ほんの少し歩くのに、足が痛くて仕方ない

やっぱり、治してしまおうか




「無理すんな 掴まれ」


土方が私を支えてくれた


「すまぬ」

「どこ行くんだ?」


「炊事場だ 皮むきをする」

「座ってしろよ?」


「案ずるな、朝からさほど仕事をしておらぬ
少しくらい大丈夫だ」



炊事場に入ると

隊士らが 「ヒッ」 と、声を上げる

横目でチラリと土方を見ると

明らかに威嚇している


沖田の言う、気を使うのは
コレが理由か…



「私の怪我を心配してくれているんだ
余計な事をするな」


「…っ」


「心配なら、お前も皮を剥けばいい」


「いやいや!!副長にそんなっ!!」


「そうです!紅音さん!
ここは、俺達が!!さぁお二人は、休まれて下さい!」


「ほら、土方が怖い顔するからだ」


「俺も皮むきをする!!」



意外だ

まさか、本当に皮むきをするとは…


しかも、上手い



「なんだよ」


「上手だな」


「まあな」


得意気にニヤリと笑う


私は、としさんどころか
土方の事もなにも知らない


なのに



人になりたいなんて…





「おかしい…」



うっかり口に出てしまった



「クククッ 久しぶりに聞いた
紅音は、俺らの事〝おかしい〟って
言ってたもんな?」


「そうでしたねぇ~」



土方が、平隊士と笑いながら私の事を
話している

なんだろう


すごく、嬉しくなる




「土方は、もっと皆と仲良くしろ」


「ん?してるだろうが」


「いつもしてろと言っている」


「なんだ?急に…」


「嬉しい… そうやって笑っている姿を
見れると、安心するんだ」











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