浅葱色の鬼
「命って、知ってる!?」




紅音に梅の簪を渡し、求婚をした
そのすぐあと


紅音から、歳美に問いかけられた




「…命?」




歳美は、恐る恐る紅音を見つめた




「私、命なの」




歳美の中で、何かが崩れていく
そんな感覚を感じた




「命……」


「知らない?命というのは、人の怪我を治せるのよ!歳さん、戦に行くんでしょう?
私、歳さんの怪我を治すわ!」


「紅音、命というのは、人の怪我を治すのか?」


「そうよ!」


「奪うのではなく?」


「???奪ったりしないわ!
命はね、人から産まれるのよ!
私も、人になって、歳さんの子を産みたい」


「命になる子を産むのかい?」


「いいえ 人と人の子よ
命には、ならない
だけど、私は人になると300日で
この世を去るわ」


「……死ぬってことかい?」


「そうよ 女命って、そういうものよ」


「紅音……僕は……」


「なに?」


「戦に行くんだ」


「聞いたよ」


「帰ってこれないかもしれない」


「帰ってきて!怪我は、治すよ?」


「それは……約束出来ない」
















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