浅葱色の鬼
歳美が、戦へ行くと

もう会えないような不安に襲われた紅音は
歳美の後を追い、戦場へ


途中の町で、売っていた赤い糸を持ち


「歳さん!!怪我は、ない?」

「紅音!!どうしてここに?」

「心配で…」



歳美は、危険だからと
紅音を隠した



「戦が終わり、無事なら迎えにくるよ」


「無事ならなんて!!必ず来ると言って!」




それから、戦の合間に
紅音に会いに来るようになった歳美



会う度に涙を流す紅音を懸命に宥める




そんな戦の日々




外の様子が気になり




紅音は、隠れ家を出てしまった




「え……なんで……」






目の前の光景が、あまりにも酷く


紅音は、その場に座り込む





「歳さんは… 私を妻にする気なんて…
なかったのね
私が… 命だから… 
迎えにくるなんて… 嘘をついたのね
約束してくれなかった…
理由が、わかっちゃった…」






ポロポロと涙を流す




地面についた手で、土を握る





悔しい思いを涙で流すことが出来るなら
そうしただろう




フラフラと戦の中へ入っていく



「おい!娘!危ないぞ!」



歳美らの勝利が確定した



この戦の指揮を歳美がとっていた






「紅音!!何しているんだい?
危険だから、戻っておくれ」



「私は、命」



「紅音!!」


「殺せ!!その娘も命だ!!」


「違う!!紅音は、命じゃない!!」


「私は、命!!でも……
命は、人の命を奪ったりしないわ!!
どうして!? なぜ、命を殺すの?」


「命が、人を支配しようとしているんだ」


「そうだ!命は、危険な力を使う!」


「命を滅ぼせ!!」



紅音に向かった刃を歳美が受けた



歳美を貫いた切っ先が、紅音にも刺さる



「痛っ!」








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