浅葱色の鬼

紅音

ぬくもりに包まれ、目覚めた朝

土方の腕のたくましさに

自分の腕を並べてみたり

部屋や土方の匂いなどを確かめつつ

布団から出られないでいた


春とはいえ、布団の外は寒い


1度出した手は、すぐに布団に戻した


それでも、私の興味は増して

キョロキョロと顔を動かしていると


「クククッ」


「土方… 起こしてしまったな」


「起きる時間は、とっくにすぎてるよ
でも、誰も起こしに来ねぇから
紅音とこうしてたい」


「あったかいな
そうか、土方があったかいせいで
布団から出れなくて、困っているんだ
私は、色々やりたいことがあるんだ」


「俺も、紅音にしたいことがある」


ゴロンと向きを変えられ
土方と向かい合う


「わかるか?」


「うん」


土方がよくしてた、私の頬を撫でる仕草

こんなに優しく撫でられていたのか

大切な物に触れるように

ゆっくり、ゆっくり



自然と笑みがこぼれる




「紅音」



土方の顔が近くにあり
ドクン 胸が、鳴る



そっと、優しく重ねられた唇が
あたたかく、やわらかく


驚きのあまり


土方の着物にぎゅっとしがみつく


ゆっくりと離れていく唇が




「300日しか、一緒にいられないんだな…」




悲しそうに告げた




隠し事をしている私は、胸が苦しい




「2日もすれば、そういうことも忘れる
この楽しみに終わりがあると知ったら
私は、悲しくなるかもしれない
だから、これが永遠に続くと思わせてくれ」


「無茶言うな」


「土方なら、出来る」



今度は、私から


唇を重ねた




なんの力もない、この口づけを
愛おしく想う





他の奴とするなと言った意味がわかる





私は、土方が好きだ


土方としか、したくない









唇を放し、土方を見ると
真っ赤な顔で、照れていた



「お前が、最初にしたんだろう
なぜ、照れる」



「いや、予想外だ/////」



そんな反応されると
こっちまで照れる



土方に背を向け

回された腕にしがみつく



幸せ とは、こういう物か?




てっきり、痛みのないことだと思っていた



なるほど、悪くないな











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