クールな王太子の新妻への溺愛誓約
「とても綺麗!」
両手を胸の前に組み、マリアンヌの顔がパッと花開いたように明るくなった。
「すべてマリアンヌ様のためにお作りしたものだそうです」
ベティが得意そうに言う。
レオンとの結婚が決まった時に、フィアーコからピエトーネへ仕立屋が派遣されたことをマリアンヌは思い出した。胸囲や胴囲はもちろんのこと、頭の形や足の大きさまで事細かに採寸されたのだ。
「……それはレオン殿下が?」
マリアンヌは思わずそう質問してしまった。どうも殿下には歓迎されているように思えなかったからだ。謁見の間でも晩餐会の場でも、マリアンヌと話すことはもちろん笑いかけることすらなかった。
利権が絡んだ国同士の結婚とはいえ、会えることを指折り数えていたマリアンヌにとって、レオンの態度はあまりにも冷たいものだったのだ。
「国王陛下がご準備なさったと」
そこまでベティが言ったところで、マリアンヌの顔が曇る。