クールな王太子の新妻への溺愛誓約

「マリアンヌ様、お茶をお淹れになるのがお上手ですね。大変驚きました」

「ふふふ。そうでしょう?」


感心するマートに胸を張って返した時だった。


「あっ……」


シートに置いたカップに足が触れ、倒してしまったのだ。容赦なく紅茶が広がる。
マートが咄嗟に自分の胸元からハンカチを取り出した。


「マート! ハンカチが濡れちゃうわ!」


思わず手を伸ばすと、そのハンカチに施された刺繍に目が留まる。赤い目をした青い獅子が描かれていた。

マリアンヌの視線に気づいたマートが、ハンカチを即座に胸元に戻す。代わりにカゴに入っていた白い布でこぼれた紅茶を拭った。どこか慌てている様子だ。


「ありがとう、マート」

「あ、いえ……。それにしてもレオン殿下は本当にお幸せ者ですね」


マートはレオンとマリアンヌの意識を不自然に逸らした。

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