クールな王太子の新妻への溺愛誓約
「美しいだけじゃなく、配下の者にまで気づかいをされる心優しさをお持ちの上、おいしい紅茶を淹れられるお方を妻として迎えられるのですから。殿下が笑顔を取り戻されるのも当然です」
紅茶で潤った喉の調子がよかったのかもしれない。マートは滑らかな口調でそこまで言ってから、ハッとして口をつぐんだ。
顔は正面を向いたまま、おそるおそるといった様子で目だけレオンへと動かす。その目が捕えたのは、ムッとした表情のレオンだった。
「“氷”で悪かったな」
「――も、申し訳ございません!」
レオンが嫌味っぽく言うと、マートはカップをそばに置き平身低頭謝罪を口にした。
マリアンヌは口に手を当てて“あらら……”という顔でふたりを眺める。
しかし、そんなに心配するような事態にはならなそうだ。レオンはすぐに表情を解いたのだ。ムッとしたのは見せかけだったのだろう。
「冗談だ」
レオンが鼻を鳴らす。
「……はい?」