クールな王太子の新妻への溺愛誓約
やり抜くと決意したばかりのクレアだったが、さすがにその格好を持続させていられない。目にも留まらぬ速さで体を反転させ、ベッドに膝を抱えて座った。
ベティを前にしても、この恥ずかしさ。それをレオンの前でできるのだろうか。
「クレア様」
ベティがその脇に座り、クレアの背を優しくさする。
「なにも心配することはございませんよ。女性はみな、そうして幸せになっていくのです」
「……ベティも犬やカエルになったの?」
「そうでございますね。もう遠い昔のことになりますが」
ベティは遠い目をして答えた。
十代の頃に結婚したベティは早いうちに死別し、すぐにピエトーネの王宮に仕えるようになったのだ。それからは、侍女ひと筋に二十年弱。
「とにかく、レオン殿下にお任せすればよいのです。最初は痛いかと思いますが、じきによくなります。クレア様自ら、喜んでカエルや犬になるかもしれません」
「わ、私から喜んでなんて!」
絶対にありえないと、クレアは心の中で思った。
そんなクレアを見て、ベティがクスッと笑う。“そのうちわかりますよ”と、その目が言っていた。