クールな王太子の新妻への溺愛誓約
恥ずかしい姿を見せてしまった。
ただ、ここで踵を返して帰るわけにはいかない。お礼を言うなら今がチャンスだ。
「レオン様、夕食の時は大変失礼いたしました。それと、私を部屋まで運んでくださったと伺いました。本当にありがとうございます」
にこやかに笑いかけると、レオンはサッと目を逸らした。
「王太子の妻となる者に侍従が触れるわけにはいかないだろう」
「はい。ですが、レオン様が運んでくださったと聞き、とても嬉しかったです」
素直な気持ちをストレートに伝える。
めったに感情を表さないレオンの目が、一瞬泳いだように見えた。
「もういいのか」
視線を外したままレオンが尋ねる。
「はい! もうすっかり!」
体調の心配までしてくれたことに、マリアンヌの喜びが倍増する。マリアンヌは笑顔いっぱい元気よく答えた。