クールな王太子の新妻への溺愛誓約
(いけないわ。レオン様が私にバラをくださっただけでも喜ばしいことなのに)
それに今日は、いよいよレオンと一緒に街へ行く日なのだ。
昨夜のうちに今日は政務が休みだと聞き、断られるのを覚悟で誘ったところ思わぬ快諾をもらったのだ。
あまりに嬉しくてその場で飛び上がったマリアンヌを見て、レオンは「約束を破るのは好きじゃないからだ」と顔色を変えもしない。
マリアンヌにはそれが言い訳のようにも聞こえて、思わずクスッと笑ってしまった。
本当は自分と一緒に行きたいと思ってくれているはず。そう都合のいいように解釈したせいでドキドキして、昨夜はよく眠れなかった。
「バラがあると、お部屋の中がさらに華やかになりますね」
ベティがマリアンヌを微笑ましい表情で見つめると、マリアンヌは「うん、本当に」と嬉しさを隠しきれない様子で、もう一度センティフォーリアの匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。