クールな王太子の新妻への溺愛誓約

◇◇◇

街へは前回同様にマートと、ほかに二名の護衛が付くこととなった。今回、ベティは留守番だ。
馬車にはレオンとマリアンヌが乗り、マートたち護衛は馬で馬車を囲むように走る。

狭い空間でレオンとふたりきりになるのは初めてのため、マリアンヌは終始緊張していた。

レオンは変わらず涼しげな顔で真っ直ぐ前を向いたまま、微動だにしない。それでも途中、道の悪い箇所を通る時にはマリアンヌを気づかうようにそっと腰へ手を添えてくれ、そのたびにマリアンヌはひとりドキドキと胸を張り詰めさせた。


「レオン様、あの森は王族の狩猟区と伺っていますが、レオン様も行かれることがあるのですか?」


右手の窓から見えた森を指差す。青々とした木々が果てしなく続いているようだ。


「国王に付き合ってたまに。森の向こうに小さな湖があるんだが、そこはよくひとりで」

「湖があるんですか!?」


マリアンヌが思わず身を乗り出す。
ピエトーネにも美しい湖があり、そこへはよくベティを連れて行ったものだ。

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