同居相手はまさかの!?
◇◆◇◆

【茉莉大学編】

そしてあたしはライブ会場に来た。



しばらくして、さっきの彼達が登場した。



そして、彼がマイクで喋りだした。



「えー…。皆さんようこそ!今日は俺らのライブに来てくれてありぎゃ…あ、ヤベ…噛んだ。
ありがとうございまっす!」


「あはははは」


(何、噛んでるのよ…。)


「えー…この曲は今日、初披露します。
ギターも、ドラムも、ベースも…
もちろんボーカルの俺も、ペーペーですが
どうかそこは、暖かく優しい目で見守って下さったら最高っす!」


「あはははは!」


(…ぷっ)


彼の挨拶に思わずあたしは笑ってしまった。


ボーカルの彼は、その後のトークも相変わらず噛み噛みでグダグダだった。


「何かむちゃ噛みましたが…。歌で挽回しますんで許して下さい!では、そろそろ歌います。聴いてください…。
【RAIN】」


♪〜♪〜♪


そして音楽が始まった。



その時彼がマイクを握り始めた。



歌い始めたその瞬間、さっきのお調子者だった時の顔は消え、


見たこともない顔を、彼はあたしに見せた。




その瞬間、あたしの胸は強く掴まれたように…


熱くなった。


彼の顔が変わるたび、あたしの胸はドキドキした。 


(…何これ)


それは大袈裟かもしれないけど、


まるで…


見たこともない世界に連れて行かれたような…



そんな…気がした。



彼の歌声に、あたしはまるで釘付けされたように


気づいたら、彼の姿を無我夢中で目で追いかけてた。



「…莉、茉莉!」



「…え?」



「…ライブ終わったよ?」



(…あ、もう終わってたんだ…。全然気付かなかった…。)



「結構上手かったよねー!本格的だったー!」




「そうだね…。」



(…何だったんだろう…。さっきの)



「さっきのボーカルの彼、あたしらの時とは何か雰囲気全然違ってたよね〜。」



「…うん」



あんな…。人を惹きつけるような顔と声…。


彼にそんな才能があったなんて…。



「名前なんだっけ〜。えっと~ビラビラ」 



葵はそう言ってビラに目をやった。



「…あ、三吉将人だって!」



そこにはビラに、【ボーカル三吉将人】と書かれていた。



「三吉…将人」



「茉莉、どした?顔、赤いよ…?」



「え?」


葵に言われ、あたしは頬を触った。


触った瞬間、あたしの頬は熱く火照っていた。


(…ヤバイ。あたし…顔むちゃ熱い…。)



気づいたらあたしは…



三吉君のあの顔に…



あの声に…



もう…落ちていた。



…虜になってしまっていた。






















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