同居相手はまさかの!?
◇◆◇◆

【将人大学編】

俺は出番が来るまで、何度も祈り続けた。


彼女に来て欲しいと…。


何度も何度もただじっと心の中で願い続けた。


その時


「将人、時間だぞ。」


廉に言われ、俺達は会場に向かった。


「わあああー!!」

パチパチパチパチ


たった数名だけど、グランドに人は集まっていた。


俺は必死に彼女を探した。


その時、端っこの方で小さく手を叩く彼女を見つけた。


(小野田さん!)


そして俺はマイクを握りしめた。


「えー…。皆さんようこそ!今日は俺らのライブに来てくれてありぎゃ…あ、ヤベ…噛んだ。
ありがとうございまっす!」


彼女が来てくれた事が嬉しくて、舞い上がってしまった俺は思わず噛んでしまった。

「アハハハ!」


(カッコわりぃ…。俺…。)


「えー…この曲は今日、初披露します。
ギターも、ドラムも、ベースも…
もちろんボーカルの俺も、ペーペーですが
どうかそこは、暖かく優しい目で見守って下さったら最高っす!」


「あはははは!」


観客の笑いが溢れかえる中、彼女も笑っていた。



(…小野田さん。)



俺はその後のトークも相変わらず緊張して、噛み噛みになってしまった。



「何かむちゃ噛みましたが…。歌で挽回しますんで許して下さい!では、そろそろ歌います。聴いてください…。
【RAIN】」


〜♪〜♪〜♪


そして曲が始まった。



今から…届けるんだ…。



俺の歌を…。



俺を知って欲しい…。



俺は願いを込め、マイクをギュッと握りしめた。



そして俺は、彼女の元へ届くようにと願いを込め盛大に歌った。



彼女はずっと、俺の歌をまっすぐな目をして聴いてくれた。 

しばらくして歌が終わった。


「ありがとうございました!」



「わあああああー!」



パチパチパチパチ



たくさんの拍手が鳴り響き、そしてライブは成功し無事に終わった。


そして観客が帰って行った後、俺達はライブの後片付けをし始めていた。



「お疲れー将人!」



「おう!」 



「大成功だったな!」



「だな。」



楽器を片付けていたその時、彼女が歩く姿が見えた。



「わりぃ!俺ちょっと行ってくる!」
 


「おい、将人?」



…伝えるんだ!俺の気持ちを…!



「小野田さん!」



俺は彼女の後ろ姿を追いかけた。


そして、彼女の名前を叫んだ。






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