臆病なきみはうそをつく


『はじめまして。いつも更新を楽しみにしています。

カレンと翔太の恋が切なくて、これからがとても気になります。

実は、私も翔太と同じ病気です。

一度は治ってたけれど、また再発してしまいました。

今度は助からないかも……と言われてます』


「………え?」


思わず声が出た。

同じ病気って……。



『だから、翔太のこれからがとても気になります。実話ときいて、ますます共感するようになりました。

出来れば助かって幸せになってほしいと思うけれど、実話だから私の意見で結末は変わったりしませんよね…。

どちらにしても、最後まで応援しています。頑張ってください。』


コメントはそう締めくくられていた。


「………」


それまでの楽しい気持ちは一気に静まり、今は動揺で胸がドキドキしている。


同じ病気…。


翔太……小説の相手役の病気は、軽い気持ちで決めた。

でも、決め方とは裏腹に重い病気だ。

病名だけで死を連想させるくらいの。

それと、同じ病気……。

しかも、助からないと言われているなんて。


「べ、別に……だとしても関係ないよね……。私は今まで通りに話を書くだけだし」


重い病気だが、珍しい病気ではない。

こういうことも充分ありえるだろう。

だから、変に気にすることはない。


……なのに。

どうしてこんなに胸が苦しいのか。



『実話ときいて、ますます共感するようになりました。』

『出来れば助かって、幸せになってほしいと思う』



(……実話じゃ、ないんだよね)



その朝は、どうしても筆が進まず、朝の更新が出来なかった。




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