不機嫌なジェミニ
ドアがバンと開いて

覚えていた通りの成宮 仁が現れた。

長めの真っ直ぐな黒髪を大きな手でかき上げている。
強い眼差し、切れ長の瞳。
双子だからよく似てるけど、
並んでいると印象がまったくちがう。
レンさんよりも随分と野生的…というか粗野っぽい感じ…?
この寒いのに半袖の白いTシャツにダメージのブルーデニム。
まあ、部屋の中は暖かいけれど…

「レン、用事ってなんだよ。」と言いながら、私の顔を見て、
にっと笑い、

「遅刻しなかったか?感謝しろよ。名前は?」

「藤野透子です!」と頭を下げると、、

「ジン、やっぱりおまえかバツ付けたの…」

「いいだろ、あとで、まとめて見る予定だったし…
トウコ、明日から出社。セイジ、おまえが面倒みろ。」と言いながらまた、ドアを出ていく。

「ジン、藤野さんまだ、学生だから…」というレンさんの声は聞いていないみたいだ。


「うーん。とりあえず、アルバイトって事にするか…」と私に微笑みかけ、

「よろしくね。藤野 透子さん。
ジンはあの通りの男だけど、才能はあるから…勘弁してやってね。」

私は突っ立ったまま、

「…採用…ですか?」と聞くと、


「内定出すよ。明日来れる?細かい事を決めるから…」
と言われ、ぼんやり頷きながらレンさんの顔を見つめると、

「トウコちゃん、聞いてる?」と王子に顔を覗かれハッとして、

「ありがとうございます!」と深々と頭を下げると、

「…聞こえてなさそうだな。
もう、面接はおしまい。帰っていいよ。
セイジ、明日来るように言って。」
とレンさんはクスクス笑いながら
立ち尽くす私をセイジさんに任せてドアを開けさせた。




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