不機嫌なジェミニ
「トウコ、ただいま」

と唇が重なる感触で目が覚めた。

いつのまにか寝ていたみたいだ。

「ジンさん、お帰りなさい」とジンさんの頭を抱きしめる。

「ご飯食べたよ。美味かった」

と微笑んで、ベッドに横になり、私のパジャマを脱がせてキャミソールにして、深く抱きしめる。

「トウコ、さっき、スケッチ見たんだけどさ、
あれっていいな。って思って…
ちゃんと描いて、形にして、
コンクールに出してみたら…
新人の枠で出すものもあったと思うよ。」

とジンさんが私の瞳を覗く。

「コンクール?
沖縄でみた、天国の階段なんです。」

「そうだろうって思った。
ネックレスのチャームの部分が柱みたいだなって思ったよ。
描いているだけじゃなくて、形にしたら。
由良さんに頼んでもいいけど…」

「今井さんとお話ししてもいいですか?」

「もちろん。今井さんは信頼できる職人さんだよ。
他のデザイナー達も、落ち着いたらコンクールに参加するようにしたらいいな。
ジェミニはデザイナーの個性を大切にするつもりだから、スキルアップのためにもコンクールを利用するといい。」

ジンさんはそう言って私の身体を深く抱きしめ、眠りについた。

…コンクールの参加は自分を高めるため。

私は光の柱をどう表現するといいか、考えながら、
ジンさんの腕に包まれて、目を閉じた。






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