不機嫌なジェミニ
公園の名前を言うと、近所のコンビニで待っているように言われた。

「一緒にメシを食おう。」とまだ怒った声のジンさんに

「…はい。」と小さい声を出すと、

「スマホは鳴るようにしておけ。…連絡が取れないと気になるだろ。」とため息つかれた。

「…はい」とまた、小さい声で返事をすると、

「もうすぐトウコの家の前に着く。少し待ってろ。」と電話が切れた。

通話の切れたスマホにはジンさんの着信履歴が1時間ごとに5件もあった。

心配させただろうか…と少し反省するけど、
急ぎの用事ではないような…と思ったりする。


公園を出た所のコンビニに寄ってトイレを借り、缶コーヒーを買って手を温めながら外で待つと、

すぐにジンさんの車がやって来た。

「…近くに用事があったんですか?」と驚く私に

「いや、迎えに来ただけだ。…美味い寿司でも食わせようと思って何度も連絡したのに、
連絡取れないから心配になった」

「ええ?すみません。公園でデザイン描いてました。」


「ずっと公園にいたのか?
…課題が終わってないのはわかってたから、今日も出社すると思ったんだが…」

「えっと…あの…会社に行ったら…休日出勤ってあの、会社の余分な支出になりますよね。」

「おまえが心配することじゃないし、必要な経費だと思ってるよ。
無理な課題をさせてるのは俺だし…
来週の土曜は会社で仕事しろ。」と、くすんと笑ってそっと頭に手を乗せる。

…それって、来週も課題が終わらないってわかっているって事でしょうか?と思っていたら、

「冷たい。一体何時間公園にいた?」と大きなため息を吐いて、車を発進させた。

「えーと…お昼頃から?」

「4時間以上も外にいたのか?
全く…おまえは見張ってないとだめだな。
とりあえず、ラーメンで身体を温めるか…」と前を向いたまま笑った声を出すので
怒ってはいないみたいだな
ど安心し、

「はい!!」と言うと、ジンさんは少し笑って
「アホ。」と呟いた。



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