不機嫌なジェミニ
蘭子さんは個室を出る前に立ち止まり、私に向き直る。

「ジンの部屋の鍵。トウコちゃんに部屋で待ってて欲しいって言ってた。」とカードタイプの鍵を私に見せる。

「…」私が蘭子さんを見つめると、

「ジンはトウコちゃんがとても好きよ。誰かのためにジュエリーをデザインするなんて
私が知っているのは多分、冴子さん以来だと思う。
ジンだけを好きになれないなら…この鍵は渡したくないって思ってるんだけど…」

「…他の人を好きになったりしません。
ジンさんに出会ってから…ジンさんしか見えていません。」と手を出すと、

「わかってたけど、一応確認。」と私の手にカードキーを握らせ、

「トウコちゃん若いからまだまだ出会いがたくさんあると思うけど?
ワガママで独占欲の強いジンでいいの?」と笑いかける。

「私はジンさんが好きです。
…他に『彼女さん』がいるとしても…」と言うと、

「は?何言ってるの?
ジンに決まった彼女っていないとおもうけど?
んー、今セックスフレンドっていたかな?
え!トウコちゃん!
ダメよ、他の女がいるかどうか確かめて別れさせなきゃ!」と怒った顔をする。

え?

他に恋人がいる前提で考えてたんですけど?


「いや…だって、たくさん『彼女さん』がいるって聞いてたから…
もし、お付き合いするのなら…何番目になるのかなって…」

「トウコちゃん、ちゃんとジンに直接聞いて」とうんざりした顔をして、ため息をつき、

「セイジでしょ。そんなこと言ったの。…アイツ来週会ったら、絶対シバいてやる
トウコちゃんもトウコちゃんよ。そんな噂真に受けてどうするの?!」
と蘭子さんは個室のドアを勢いよく開けて、客席にいた人達や、スタッフに驚かれていた。






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