タイムリープ
「あ、美代子おばあちゃん。お久しぶりです」

私は、祖母の名前を口にして頭を深く下げた。

母方の美代子おばあちゃんは奈良県で一人暮らしをしており、肝臓がんで亡くなった久雄おじいさんのお葬式以来、会ってなかった。だから、会うのは二年ぶりぐらいだ。

「まさか、自分の娘も肝臓がんになるなんて………」

瞳に悲しい色を浮かべた美代子さんは病室のベッドで寝ている、自分の娘に視線を落とした。

「まさか、もう間に合わなかったんじゃ………」

祖母の美代子さんの言葉を聞いて、私の脳裏に死という言葉がよぎった。

母親は今日、確かに亡くなることはタイムリープする前、翼からの電話で知っていた。しかし、母親が亡くなる時間までは知らなかったため、急に不安の波が押し寄せてきた。

「寝てる………だけだよね?」

開いた薄いピンク色の唇から、私の不安な声がボソッと漏れた。
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