タイムリープ
「それは、お酒ばっかり飲んでる私のせいでしょ。梢は、悪くないよ」

母親は、ぶるぶると細い首を左右に振った。

「でもそれは、私のかんちがいだった。お母さんが、仕事のためにお酒を飲んでることなんて今の今まで知らなかった。こんな病気になるまで、私たちのために働いてくれていたなんて………」

母親の陰の苦労を想像すると、私の瞳に涙が込み上がる。

「翼から聞いたの?」

母親が、弱々しい声で私に訊ねた。

「うん」

私は、うなずいた。

電話で教えてもらった、翼との会話が私の脳裏に思い浮かぶ。

「父親が残した借金があったせいで私が仕事をしてることを翼には教えたけど、梢には言いたくなかったの。ごめんね、梢。今まで、隠していて」

母親は、弱々しい声で謝った。

「どうして言ってくれなかったの?言ってくれたら私、大阪の実家を離れなかったのに………」

母親を責めるつもりはなかったが、私の口調が自然と強くなる。
< 146 / 210 >

この作品をシェア

pagetop