タイムリープ
「捨ててないというのなら、お母さんはなんていうの?自分が苦しいときに、私は友だちと楽しく遊んでたんだよ。怒らないの?」

私は、まくし立てるように早口で言った。

母親に、怒ってほしかった。これ以上、母親に優しくされると、今までの私の行いがみじめに感じる。

「だってこうして、大阪までお見舞いに来てくれてたでしょ。梢」

「え!」

目を細めていう母親の言葉を聞いて、私は驚きの声を小さく漏らした。

「ど、どういうこと?お母さん」

私は、かすれた声で訊いた。

「本当に捨てたという人は、わざわざ病院まで会いに来ないわよ」

「お母さん……」

にっこりと優しく笑う母親の姿を見て、私の涙腺が崩壊した。瞳に涙が一気にあふれ、頬に冷たいしずくが伝う。

「それに、梢のことは怒らないよ。だって、私たち親子。家族……でしょ」

そう答えたとき蒸発した父親のことを思い出したのか、母親の瞳に悲しい色が浮かび上がった。
< 149 / 210 >

この作品をシェア

pagetop