昼下がりの情事(よしなしごと)
逸る気持ちをなだめながら、和哉はLINEの通話で美咲を呼び出す。
「……あ、美咲か? 待たせたな。
終わったぞ……すべてうまくいった!」
スマホの向こうでホッとした気配が感じられた。
「それで、おまえ、今、印鑑持ってるか?
……あ、シャチハタはダメだぞ」
今一番の重要懸案を聞く。
『……持ってるけど、和哉、どしたの?』
「確か宅配便の受け取りのために、おれの『魚住』も預けたよな?」
『持ってるよ。それに、「天野」も旧姓の「岡嶋」も』
なぜ、当たり前のように持っている?
印鑑は女子の必須アイテムなんだろうか……?
……そんなことよりも。
「美咲、おまえ、今日、離婚できるぞ……!」