昼下がりの情事(よしなしごと)
「……和哉、帰ろう」
突然、美咲がつぶやいた。
「どうした、美咲?……指輪つけないのか?」
せっかく持ってきてもらった指輪を触ろうともしない。
「……つけたら、ほしくなるから」
美咲は思いつめた顔をしていた。
「初めて、ほしいと思う指輪に出会ってしまった……今まで指輪に興味を持ったことなんてなかったのに……」
前の夫には、金属アレルギーだと偽ってまで結婚指輪をつけていなかった。
……なに⁉︎ 「初めて」だって⁉︎
和哉を動かす、史上最強のワード「初めて」が発動された!
和哉は、速攻で財布の中からクレジットカードを取り出し、
「ボーナス払いでお願いします」
と、店員に差し出す。
「あ、あの……婚約指輪は、どの指輪をお求めでしょうか……」