*Dear……*~ハイスペック男子と甘いLove Storyを~
その瞬間、体中の血が凍り付いたように感じられた。

それでもボンヤリした頭の中で、全てを悟った。

思った通り浮気されていたと。

いつからか、あの人と会うことを最優先していたのだと。

私の為に予約した部屋を、あの人と過ごすのだと。

プロポーズ後でさえ、私よりもあの人が最優先なのだと。

……それならなぜ?

なぜ私にプロポーズしたの?

……わからない……わからない。

類の考えていることが、全く理解出来ない。

……でもいい、これで心置き無く別れられる。

もう罪悪感持たずにいられる。

大好きな海斗さんの胸に、遠慮なく飛び込んでいけるのだから。


「綾瀬……?」


課長の細く驚きを隠せない声にハッと我に返ったとたん、ボトボトッと大粒の悲しみが落ちてくる。

もうとっくに終わった恋なのに、悲しくて悔しくて堪らない。
< 525 / 581 >

この作品をシェア

pagetop