*Dear……*~ハイスペック男子と甘いLove Storyを~
やがて視界がクリアになると、更に驚くことに類が右斜め前から椅子に力無く座る私を見下ろしていた。

……こんな生気のない顔の類を見るのは初めて。

私達二人……いつの間にこんなに凍り付いてしまったの?

あの女性の姿を捜すと、丁度エレベーターに乗り込むところだった。

……やっぱりあの人と泊まるのね。


「……ごめん。……少し話したい」


「……」


私は、しばらく無言で類を見上げた後、静かに掌を差し出す。


「返して。……今すぐ返して」


「頼む! 話を聞いてくれ」


「話すことなんてない! 返して!」


立ち上がり目の前に歩み寄り、必死に感情と声を抑えながらも悲鳴のような声で哀願する私の手首を類が掴もうとした時、女子二人から驚く声がした。

同時に突然後ろから爽やかなグリーンフローラルの香りと共に、力強い腕にすっぽり包み込まれる。
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