貴方の夫が雪女に捕まっていたら
(3)
 山々がつらなる静かな山間の小さな小屋。あの雪女が、例の老婆を伴って笑いながら、お茶を飲んでいる。
「今回のターゲットの妻はすごく鈍かったね、われわれの正体に気づくのに約6年もかかった。バカなんだろう。でも一応、彼らの幸せを奪い、夫婦間の信頼はこわせた。ミッション成功だ。詳細はPC入力しておこう。さて、次のターゲットは誰にする?」
「やはり、一見真面目そうで、愛妻家でないと面白くないからまた同じ様なのを探そう、雪女カーサン、タ-ゲット探しはたのみましたよ。」
「解ったよ。娘雪女。また大騒ぎしそうなおもしろい妻をもった生真面目な、バカ男をすぐ見つけるよ」
「もうちょっとやりがいのある難しいほうが達成感があるよ。今回の男はあっけなく引っかかってあまりおもしろくなかった。反省点ではある。」
「あはは、はは、、、」
不気味な笑い声がいつまでも続いた。

おわり
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 昔、聞いたことがある。「人はいつしか夜叉になる」。そうだ。今回、夫にとりついた女はまさしく夜叉だ。其れも凄い気の持ち主だ。一介の主婦が騒いだところでかなうはずなどないのだ。相手が悪すぎる。おとなしい夫は悪い夜叉にすべてもっていかれた。今、主婦の舞子のところに舞い戻ってきた夫は夜叉に全てしゃぶりとられた、一個の抜け殻にすぎない。いっそ思い切ってどぶに捨ててやろうか?舞子はそうもなんども思った。しかし、優しい舞子は手元に置いている。自分だけは夜叉に等はなりたくはないからだ。  だが、ずるく絶対許せないアノ夜叉ヤロウに、一太刀だけでもあびせないと気がすまない。これも叶わぬ望みなのだろうか? 一刻も早く、何も考えず枕をたかくして穏やかに眠れる日々になりたい。それだけが主婦舞子の現在のささやかな願いです。 (全てフィクションです。)
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