お見合いさせられました!
結局、食事会という名目で、最後のデザートまで堪能してしまった。

さて、これにて食事会はお開き。
ホテルの正面玄関で私たちは別々の帰路に…もうお会いすることはないでしょう。
仕事で関わることは…多分ないと思う。

それなのに。


「奏美さん、少しお時間いただけますか?」


「どうぞどうぞ。ごゆっくり!私たちはこれで失礼します」


私が返事をする前に、母が即答してしまった。
しかもお互いの両親は、さっさと帰って行く。
私と五十嵐さんを残して。

な、なんで?
断ろうと思ったのに!
私は帰りたい!
これ以上エリート男子と一緒にいたら、心臓に悪い。
しかもふたりきりなんて、無理無理!
誰か~!ヘルプミー!


なんて思っても、誰も助けてなんてくれないよ。


私は五十嵐さんに促されるまま、カフェに入った。
ホテルの中のカフェは落ち着いた雰囲気で、スペースが広くとられていて、話をするにはもってこいな感じ。


五十嵐さんはソファーにドカッと座ると、目を細めて脚を組んだ。


「この話、進めるから」


「この話ってどの話?」


「見合いに決まってるだろ。天然なのか?」


待って待って待って!

五十嵐さん、さっきと全然態度違うよ!
紳士でスマートな五十嵐さんは、どこいった?

だって、さっきまでは、

「肉と魚、どちらにされますか?」
「この料理美味しいですね」


私と私の両親に終始ニコニコしてたじゃない。

どういうこと!?


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