お見合いさせられました!
バリア崩壊
無人のエレベーターに押し込まれるように乗せられ、なぜか五十嵐さんに抱き締められている私。
力の差は歴然で、私は為す術がない。
何度も抗議してみても、一向に離してくれない。
セクハラで訴えてやる!と言ってもダメだった。


「会いたかった」


「はい?」


「奏美に会いたかった。だから今は充電中」

そう言われて私の身体が固まる。
どうしてこの人はさらっとそんなことを言うんだろうか。
満足そうな五十嵐さんに対して、私は恥ずかしさでいっぱいいっぱいの状態。


「なにも心配するな。俺が守るから」


「なっ!なに言って……」


「一生かけて守る」

一生とか、ホント意味がわからない。
人の気持ちが変わるのは、2年前に実体験済みなのだから。


「そんなの、信じられません!」

どんなに甘い言葉を言われても、いつか気持ちが変わってあっさり捨てられる。
もう二度とあんな想いをするのはごめんだ。
だから私は頑なにバリアを張ってきたのだ。
誰にも近づかないように、そして近づかれないように。

それなのに、どうしてこの人は踏み込んでこようとするのか。


「親を巻き込んで見合いまでセッティングした俺だぞ。今さら手放す気なんてない。奏美のことだけを一途に想ってきたんだ」


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