お見合いさせられました！
「一途って……」


「さっきのは牽制だ」


「牽制？」


「他の男に盗られないように」


「はい！？」

全く意味がわかりませんがっ！？


「好きな女を横取りされたくないからな」

どこからどうツッコんでいいのか、わからない。
唖然としている私を見下ろしながら、五十嵐さんは意地悪そうにニヤリと笑っている。
その姿に、心臓の音が煩くドキドキと鳴っている。


「奏美は俺の婚約者だ。堂々としてればいい」


「婚約者！？」

待って待って待って！
いつの間に婚約者になったの！？


「奏美の過去も今も未来も、全て欲しい」


「なっ！」

そんな熱のこもった目で見ないでほしい。
目を逸らそうとするが、そうさせないように五十嵐さんは片手でガッツリ私の顎を掴んでいた。

私が必死に築いてきたバリアが呆気なく崩壊していく。
突然現れた、目の前の人によって。


「わ、わかり、ましたから……。手を離して……」

声が震える。
五十嵐さんの真剣な表情、熱のこもった目が、本気なんだと伝えてくる。


「今さら離すわけないだろう」

抱き締められている腕の力が強くなった気がした。

気恥ずかしくて、なにか反論しなくてはと口を開きかけた私は、なにも言わせてもらえなかった。


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