ライアーピース



「じゃ、行ってくるね」


「行ってらっしゃい」


歩夢を送り出してから
大学の準備をする。


カバンに必要なものを詰めて
歩夢の部屋を後にした。


今日から当分、一人かぁ。


歩夢との半同棲生活が続いてるのもあって、
一人暮らしらしい一人暮らしはしていないからちょっと不安。


寂しいなあ。


でも歩夢、
仕事頑張ってるみたいだから
我儘は言えないよね。


「私も頑張りますかー!」


大学に着くと、私は1人早めに
教室に着いてケータイをいじっていた。


すると、次にやってきたのは
両手に花状態の陸だった。


「あ・・・」


思わず声をあげると、
陸がこちらを見た。


「・・・・二宮?」


「お、おはよう・・・」


陸がこちらに向かって歩いてくると、
両隣にいた女の人たちが教室を出て行った。


現在二人きり状態。
私はあまり陸の顔が見られなかった。


昨日寝た子かな。


今日寝る予定の子かな。


考えたくないのに
頭が勝手にフル回転する。


陸は私の隣に座ると
私の顔を覗き込んだ。


「なんか、俺のこと避けてる?」


「そう?そんなことないけど」




・・・はい。
思い切り避けてます。


私は歩夢と結婚するんだから。


あんたなんか入り込む隙間もないくらい、
私は今幸せなんだから。


邪魔されたらかなわない。


しれっと返事をすると、
陸はふーんと相槌を打った。




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