ライアーピース





気付けば学校も夏休みを迎えた。


部活もあって忙しくはあるけど、
ちゃんとした休みの日には
ただひたすらだらけるしかなかった。


案外つまんないもんだなあ。
夏休みって。


友達にもなかなか会えないし、
炎天下の中熱くて死にそうだし・・・。


早く学校始まらないかな。


夏休みの課題なんかいらないから
毎日登校日にしてほしいのが本音。


今日は部活もオフで1日休み。


暇すぎてあくびをした時、
インターホンが鳴った。


「お母さーん?いないのー?」


ああ、玄関に出るのもめんどくさい。


誰だろう。



「はーい・・・って、陸!?」


夏休みに入ってからは
毎朝記憶の整理をするための電話くらいで、
会ったりはしなかったのに、


珍しく陸のほうから私の家へやってきた。


「陸、私の家、分かったの?」


「若葉に会いたいなーと思って家を出たら、
 なんだか懐かしい道があったからさ。

 でも間違ってなくて良かった」


「どうしたの?」


「今日の夜さ、暇?」


「暇・・だけど」


「じゃあ、夏祭り、行かねぇ??」



「夏祭り!?」





夏祭りなんて何年ぶりだろう。


確か最後に行ったのは小学4年の夏。


それ以来、私は夏祭りには
興味を示さなくなっていた。


まあ、人混みが嫌いっていう理由なんだけど。


陸となら、行きたいかも。


「行く」


「そっか、よかった。
 じゃあ、6時に駅前な」


「うん。陸、
 帰り道気を付けてね」


「わかってるよ。ありがとな」


「うん」



陸の背中を見とどけてから、
私はさっそく浴衣の準備をした。



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