私にとって初めての恋。
あれから美陽と悠琉は話すようになった。
何でもなくても毎晩携帯で電話をする。

「それじゃあ、おやすみなさい。悠琉さん」
『うん、おやすみ』

美陽は通話を切ると小さく息をついた。

「電話はまだ慣れないなあ」

耳元から聞こえる声にドキドキして顔が赤くなる。
美陽は通話していたほうの耳に触れる。
熱を持っているのが分かった。
余韻にすら浸る。

「体の中で反響してるみたい」

美陽はベッドに寝転がる。
携帯を握り締めながら眠りについた。
翌日、久々に4人が揃った。

「あら?悠琉くん、愛妻弁当ですか?」

美陽は毎朝、悠琉の分と自分の分のお弁当を作っていた。

「美陽、私にも料理教えて?」

美陽のお弁当の中身を見ながら束李が言う。

「もちろん、いいよ!何か作りたいものある?」

美陽の問いかけに束李は考える。
すると、龍月が提案するように言った。

「ハンバーグと卵焼き食べたいです!」
「はぁ?」

悠琉が据わった目で龍月を見る。

「じゃあ、ハンバーグと卵焼き教えて!」

束李が美陽に頼み込む。

「うん、いいよ!分かった」

美陽は笑って答えた。
密かに龍月がガッツポーズをしていたのは悠琉しか気づかなかった。
悠琉はそれを見てため息をついた。

「お前は何を求めてるんだ?」

悠琉が龍月に小声で言う。

「おしどり仲良し夫婦?」

龍月はおちゃらけたように言った。
それにも悠琉は息をつくことしかできなかった。
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