私にとって初めての恋。
美陽と束李が料理をしている余所で、美陽の家のリビングのテレビの前で悠琉と龍月が勉強していた。

「めっちゃいい匂いする」

龍月が犬のように鼻を鳴らす。

「美陽、何作ってるの?」

ソファーの方から悠琉が美陽に話しかける。

「内緒です!」

美陽は楽しそうに答えた。
束李は真剣に料理に集中している。
龍月は真剣な表情の束李を見て、静かに笑った。

「何か手伝う?」

悠琉がそう言うが、

「大丈夫です。座っていてください」

と美陽に断られた。
美陽は束李の傍に立つ。

「調子はどうですか?」
「もう、ちょっと!」

美陽にあまり反応ができないほど束李は内心焦っていた。
美陽が集中を途切れさせない程度に言う。

「もっと力抜いていいよ束李。料理は楽しくやらなきゃ」
「分かった、やってみる!」

束李はフライパンを握りながら深呼吸をする。

「はぁ~…、疲れた」
「ふふ、後は盛るだけだね」

美陽は束李にお皿を渡した。
< 70 / 107 >

この作品をシェア

pagetop