私にとって初めての恋。
気になる悠琉の反応は一切なく、

「お弁当、美味しかった」

の一言で終わった。
美陽は不安になりながら授業を受けた。
思考は悠琉と不安だけ、美陽にしては珍しく授業に集中できていなかった。

「美陽…」

落ち込む美陽を不安そうに見つめながら束李は部活に向かった。
美陽は空が赤く染まりカラスが鳴き始めても自分の席から動こうとはしなかった。

「美陽っ!?」

部活から戻った束李が、今だ教室にいた美陽に驚いた。
束李は美陽の傍に歩み寄る。

「美陽、先輩とちゃんと話した方がいいよ。このままじゃダメだって」

声をかけても美陽は抜け殻のようだった。
微動だにしない美陽に息をついて、束李は教室を出ようとした。

「!」

束李の目の前には教室内を覗く龍月と壁に背を向けている悠琉がいた。
束李は美陽に気づかれないよう、廊下に向かう。

「先輩!」
「おう!」

束李と龍月は小声で話す。

「ほら、行ってこい!悠琉」

龍月は悠琉を壁から剥がし、教室内に押し込んだ。
束李と龍月は悠琉に向かってエールを送る。
悠琉は諦めて、2人に

「先に帰って」

と口パクで伝えた。
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