恋愛ノスタルジー
「当面の食事の準備はしてきましたし後は……立花さんに任せました」

圭吾さんが信じられないといったように再び私を見つめた。

「立花って、あの女か?!」

私は軽く頷くと、先程の出来事を思い返した。


****

約一時間前。

立花さんが私にスマホを手渡しながら、しっかりとした口調でこう言った。

「峯岸さん、落ち着いて。夢川社長は汐留の総合病院に搬送されたらしいわ。多分過労じゃないかって」

「……どうしよう……圭吾さんになにかあったら私、」

怖くて声が震えそうになる。

もしも圭吾さんとこのまま二度と話が出来なくなったらと思うと、居ても立ってもいられない。

頭が真っ白になり、まず何をどうしていいのか考えがまとまらない。

そんな私を、立花さんが驚愕の眼差しで見つめた。

「峯岸さん、もしかして……あなた」

頷くと、涙が頬を伝った。

この間、美月に言われた言葉が脳裏に蘇る。


『自分の気持ちにまで鈍感になるのはよしなさいよ?』
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