恋愛ノスタルジー
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凌央さんのマンションを出ると、私はゆっくりと駅の方向へ歩き始めた。

週末のせいかまだ早い時間帯にも関わらず、周辺の道も人が多い。

この付近は有名なイルミネーション通りがあるのできっとそのせいだろう。

人混みを避けるように中道を通り、駅へ到着した頃にはすっかり日が落ちていた。

今晩の夕食は何にしよう。

そういえば朝起きると圭吾さんは既にいなかった。

何時に帰るのかな。……連絡してみようかな。

その時、コートの中のスマホが振動した。

タイミングのいいことに圭吾さんだ。

「もしもし、圭吾さん?」

『今何処だ』

「え?」

『何処にでも迎えにいくから場所を教えろ』


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信じられないくらい早く、圭吾さんは私を迎えに来た。

「圭吾さんありがとう。凄い偶然ですね。ちょうどこの辺にいたんですか?」

助手席に乗り込んで圭吾さんを見上げると、彼は私を一瞬だけ見た。

それからすぐミラーに視線を写したあと目視し、ハンドルを切る。

「……取引先の社長連中と昼食会だったんだ」

「そうだったんですか。土曜日なのに朝からいないから夕飯とかどうするのか気になっ」

「どうして一人で夜道を歩いているんだ」

「へっ?」

私を遮った圭吾さんの口から出た予想外の言葉に驚き、思わず間抜けな声を出してしまった。

「……」

恐る恐る圭吾さんの顔を見上げると、その綺麗な横顔に苛立ちの光が浮かんでいる。
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