国王陛下の極上ティータイム
それから激高するセレスティーナ姫を落ち着かせるために2杯目のローズヒップティーを淹れて、セレスティーナ姫のランティス国王陛下への愛をジュリエッタ王女はひたすらに聞き続けていた。

「こんなにも、こんなにもお慕い申しておりますのに、ランティス様はどうして!どうしてお会いしてくれないの!?」

ついに泣き出したセレスティーナ姫を見て、追加の菓子を準備していたクラリスはこんなことを思った。

ランティス様にどれだけ恋心を抱いているのか計り知れないが、いつもの国王陛下を見れば少しは目が醒めるだろう。外聞とは異なる、本当のランティス様のお姿を。

「クラリス殿、少しよろしいですか」

すると衛兵に呼ばれた。しかし衛兵はセレスティーナ姫の姿を見るとぎょっとし、慌ててクラリスに小さな声で耳打ちをする。

内容は、「国王陛下がクラリス殿をお呼びしている」。

それでようやく衛兵が耳打ちした理由が分かった。

陛下に関わることは、今のセレスティーナ姫に聞こえてはならない。



「失礼いたします」

クラリスは眉をひそめながら国王陛下の執務室の前にいた。

部屋を守る衛兵達が驚きと焦りが混ざった顔でクラリスを見ているが、その怖さに何も言えない。

「やあ、クラリス」

陛下はいつもと同じ笑顔で出迎えてくださった。

陛下が腰掛ける執務机の上には膨大な資料が積み重なっている。忙しいのは本当らしい。
< 63 / 208 >

この作品をシェア

pagetop