国王陛下の極上ティータイム
『ねえ、名前で呼んで?』

『ん、よくできました』


どうして、どうして。

ランティス様の声ばかり、思い出してしまうのだろう。


自分のことなのにクラリスには訳が分からなかった。

訳が分からず、苛立ちさえ感じる。


けれどランティスの言葉は、確かにクラリスに立ち上がる元気を与えた。


もう一度傍にある棒を持って立ち上がる。


諦めたくない。諦めたくない。

諦めるなんて、私らしくない。


両手で高く掲げた棒を高く振り下ろそうとしたその時だった。


鍵が外れる音と金属が擦れる音が聞こえて、扉が開いた。

その先にいた人物を見て、クラリスは目を見開いた。



「…やっと、見つけた」


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