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タクミの生活はお父さんが倒れた事で変わらざるを得なくなった。

お父さんは仕事を辞めることになり、
家族の生活はタクミの肩にかかった。

知り合いの伝で就いたバレー部のコーチの職は
それほど高くない報酬で引き受けた。

元バレー選手というより元芸能人で名は知れていたけど
バレーの選手としては一流になる前にその夢を断たれたタクミは一流のコーチとして迎えるには実績がまだ足りなかった。

父の医療費や家のリフォームのローンなどタクミの今の給料だけでは到底支えきれない。

収入は芸能人だった頃とは桁がちがう。

そんな時、神の救いみたいに
タクミに芸能界復帰の話が来た。

オリンピックが迫っている今、
スポーツの種目や選手を紹介する
スポーツ番組が増えている。

元アスリートでスポーツキャスターだったタクミにも活躍する場所がまだあったからだ。

人気が出てきたばかりで芸能界を電撃的に引退して、高校のコーチに戻ったという経歴に興味を示した人がいた。

「藤堂さん、もう一度テレビの世界に来ませんか?」

タクミは生活のためにその番組に出てみる事にした。

最初は一本だけのバイト感覚でしかなかったが
生活を背負ったタクミは
前とは覚悟が違っていた。

イケメンで面白いタクミのキャラクターが際立って
タクミはその最初の仕事で芸能界へ復帰の道が拓けた。

そしてタクミは両親のために上京してもう一度やり直すことになった。

タクミのお父さんには介助をするヘルパーさんを雇い、お母さんも楽になり話し相手も出来た。

アタシはタクミの家に時々様子を見に来ていたが
その必要もなくなった。

そしてアタシもようやくレオの元に戻ることになった。
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