あのメロディーをもう一度
「ねぇ、ゆきの。結局なんで合唱部にしたの?てっきりかおると同じとこだと思ってたのに」

帰り道の途中でももが聞いてきた。

「...」

自分でも初めはそのつもりだった。

かおると同じ部活に入って同じことをする。

でも結果はかおるのつぎ。

別に1番になりたいわけじゃあない。

「いつまでもかおるについていくだけじゃ駄目だと思った?」

「なんで語尾にはてなマークついてるの」

ももはそう言って笑った。

でも、ごめん。今言った事は半分は嘘。

もちろん、そろそろかおるについて行くだけじゃ駄目だなって思ってたのは嘘では無い。

きっと

かおるが羨ましかったんだ。

かおるは明るい性格で友達も多い。

そして勉強も運動も出来る優等生だ。

それに対してゆきのは3人以外とはあまり話せない。

他の人と話す時は3人のだれかに間に入ってもらってやっと話せるくらいだ。

引っ込み思案な性格で、運動はそこそこ出来るが勉強は苦手。

3人とは真逆。

ゆきのは心の奥底で3人と自分を比べていた。

3人がいないと何も出来ない、そんなんじゃ駄目だ。

私にも出来る事があるはず。

だから小学校のゆきのを知ってる人が誰もいない合唱部に入った。

「ゆきの!じゃあね!」

考え込んでいる間にももと別れる道まで来ていた。

「う、うん、また明日。」
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